予兆(9月6日)

 

 

9月6日 午前0時半ころ。

長女と長男は既に寝ており、私と妻は録画していたテレビドラマを観見終わり珍しく夜更かししてしまったことを反省し寝不足を覚悟しつつ寝ました。

数時間後、私は仕事ですし長女は学校があります。

 

 

9月6日 午前2時過ぎ。

柴犬ゆき初めての遠吠え。

妻と私が飛び起き、ゆきをなだめます。

遠吠えはすぐやめたものの落ちつかないゆき。

良くないことが起こると思いました。いえ、既に起こったと思いました。

それぞれのスマホを見る妻と私。身内に不幸があったのではと同じことを考えていました。

それぞれの実家に電話をかけて確認しようかとも話しましたが、ただ単にゆきが寝ぼけての遠吠えで、ただ単に妻と私の思い過ごしで深夜に電話をかけてもし何もなかったら迷惑になってしまう。何かあったら相手側からすぐ電話がかかってくるだろうと思い、電話が鳴らないことを祈りつつ再び布団に入りました。

気にはなっていたものの私も妻もいつの間にか寝付いていたようです。

 

 

9月6日 午前3時8分。

正確な時間は後に知りました。

スマホの地震速報で起きたときには、既に私は誰の手もかりずに前後に激しく揺すぶられていました。

咄嗟に娘に覆いかぶさる私。横を見ると妻は長男に覆いかぶさっていました。

部屋はまだ暗いうえに寝起きなのか時間の感覚が戻り切っておらず、とにかく長く感じ、そして揺れが強くなってきているのをはっきりと体感しました。

一番扉の近くで寝ていた私は扉が歪んで開かなくなるのを防ぐため、長女を下に抱きかかえたまま四つん這いで扉まで行き、扉を開けたところで揺れは治まりました。

家の中はまだ真っ暗です。

もしもに備え長女と長男の服を着替えさせる妻。

震えて声が出ない長女を安心させるため家じゅうの電気をつけて回る私。

最後にテレビをつけたところで停電。

このときはまだスマホが普通に使えたので情報収集すると「津波の心配なし」の文字にまず一安心。

比較的海に近い我が家はとりあえず家の中で備えることができます。

その間も続く余震と地鳴りのような音。

 

まだ3時過ぎの外は曇りだったのか、少し遠くは空と地面の境目がわからないぐらい真っ暗で大人の私も身震いするほどでした。

複数聞こえる緊急車両のサイレンに異常事態であることを痛感し、私は家の中に戻り、妻と私の実家に連絡してとりあえず全員の無事を確認。

妻は既に懐中電灯を天井に向けて立て、長女と長男を毛布で包んでゆきの傍に座らせ、大声で笑いながら話しかけつつも次々と水筒に給水。

我が家には2ℓのペットボトル18本を備え置いていますが、妻曰く、断水になったら水はなんぼあっても足りないと思ったとのこと。

あと、たくさんの鍋に水を入れてもキッチンのシンクには1個しか置けず、その辺に複数の鍋を置いくと大きい余震がきたときにひっくり返り床じゅう水浸しになるので、鍋への給水は1個だけにし溢れてもいいようにシンクに置いたとのこと。

 

ちなみに妻は地元でそこそこ大きい地震を経験し、幸い死傷者は出ませんでしたが津波で流されていく複数の車を実際に見ているためか防災意識が高く、私よりも冷静に見えました。

我が家の非常時用の食料などほとんどは妻が揃えました。

 

ある程度の準備が整ったところで、みんなでウォークインクローゼットへ避難。

我が家ではここに非常用の水と食料などを保管しており、倒れてくるものはなく、落下してくるものも若干の衣類のみで特に危ないものはありません。

一か所だけ窓はありますが、割れても飛散しないように窓前に衣類を集中して吊るしとりあえず対策をとります。

寒ければすぐ隣の寝室から布団をもってくるか、収納している衣類を身にまとって暖をとります。

もちろんゆきも一緒です。ただしケージに入ってもらいました。

ちなみに閉じ込められないよう扉は解放したままです。

 

 

9月6日 午前4時ころ。

既に体感できる余震がほとんどなくなり、我が家もとりあえず落ち着きを取り戻し、震えていた長女と長男もなんとか寝付いてくれました。

 

 

9月6日 午前5時ころ。

外は既に明るくなっており、事情あって私は職場へ向けて車で出発。

職場までの道路が陥没していないか等の状況を確認しつつ片道約1時間半かけて出勤。

途中の24時間営業のコンビニエンスストアに立ち寄るも食料品等購入のお客さんで長蛇の列。しかも停電のためレジが動かないことから店員が電卓で計算しており、なかなか列が進まないので何も買わず出発。

職場までの道中、全ての信号機が消灯しており、大きいか主要な交差点しか警察官がいなかったため、遠回りにはなるものの信号の少ない郊外の道路へ迂回。

車は少なくスムーズに進めるものの道路寸断の可能性もあることからかなりの低速。。。

ちなみに高速道路もありますが私が使いたかった区間は即座に封鎖されたため使用できず。

 

職場へ向かう途中、警察官が交通整理をしている大きな交差点で停車したところで再びスマホの地震速報が鳴り、直後に大きく車が揺れ、家族と一緒にいれば良かったと激しく後悔し涙ぐみました。

妻と長女、長男、ゆきの顔が浮かんだところで揺れがおさまり一安心。

揺れている最中も両足で踏ん張り交通整理を続けた警察官の姿に勇気をもらい心の中でお礼を言いつつ、ここまで来たのならと再び職場へ向けて出発。

 

ちなみに職場は震度5強の地域。

職場に近づくにつれ、折れている電柱や垂れ下がった電線、幹の途中で折れた木があり迂回迂回の連続でやっと職場に到着。

ちなみに電柱などが折れた原因が前日通過した元台風21号(通過時点でたしか温帯低気圧に変わっていたと思います)の影響なのか地震なのかは今でもわかりません。

 

 

9月6日 午後0時ころ

スマホでの通話は若干つながりにくいものの、LINEやネットはいつもどおり使えたため我が家の無事を確認。

妻からも1時間おきに無事とメッセージが入っているものの、充電のあてがないため最低限のメッセージのやりとりのみ。

ちなみに私は車内で充電。

 

ちなみに、アンドロイド端末は

【設定】→【バッテリー】→【緊急省電力モード】

とタップすると必要最低限の機能のみ使える「緊急省電力モード」に切り替わりバッテリー温存に有効と同僚から聞いたのですぐ設定。

私の端末では主に災害用伝言版緊急速報メールメール電話カメラLINEマップアルバムとその他少々のアイコンのみが表示され、操作しなければすぐに画面が消灯する状態となり重宝させていただきました。

妻が使っているiPhoneも同様の機能があり設定していたようです。

 

 

9月6日 午後6時ころ。

職場のある市町村が停電から復旧。

札幌テレビ塔付近を含むいくつかの一部市町村は停電復旧とテレビのニュースで確認するも詳しい情報が得られず、スマホで調べようとしましたが読み込めず。

ちなみに妻からのLINEは午後3時が最後であったものの、我が家が住む地域で大きな余震といった情報もなく、何かあれば職場に電話がくるはずなのでバッテリーがかなりやばいのかなと最悪の事態を考えないようにしました。

 

 

9月6日 午後7時ころ。

帰宅準備。

固定電話と妻のスマホに電話するも呼び出し音すら鳴らず通話終了となり、とりあえず「帰る」とだけLINEで送り、車で帰宅開始。

 

ガソリンが心もとなかったので停電が復旧した市町村で給油しようとするも、営業しているガソリンスタンドはどこも驚くほどの長蛇の列で、しかもなかなか進まないことから帰宅途中のどこかで営業しているガソリンスタンドがあるだろうと思い列を離れ帰宅再開。

ちなみにコンビニエンスストアも店外まで長蛇の列ができていたため寄りませんでした。

 

朝、職場へ向かった道を逆走する経路で帰宅を始めるも、間もなくして停電地域となり郊外ということもあり驚くほど暗く、車のハイビームライトが闇に吸い込まれて消えていくような感覚となり、対向車や民家もほとんどないため怖くなり、歩行者や無灯火の自転車(ガソリン不足で車が使えず自転車を利用する方もけっこういたようです)がいる可能性があるものの発見したときには手遅れとなりそうなため渋滞覚悟で国道へ移動。

 

国道は予想とは裏腹に大渋滞まではいきませんが交通量は多く、自宅に到着するまでの間、ほとんどの地域が停電のため信号、街灯、道路両サイドの店や住宅といったほとんどが消えており、暗闇に複数の車のヘッドライトとテールランプだけが見えるという不気味な光景。

警察官は朝と同様で大きいか主要な交差点のみ交通整理をしており、道路脇に赤色灯を回して停車しているパトカーがある交差点は警察官が交通整理をしているとすぐわかるのですが、実際に交通整理をしている警察官がこれまた非常に見えにくい状態。。。

反射材付きの制服を着て赤く光る誘導棒を振りながら移動しつつ交通整理をしているのですが、連なるテールランプと対向車のヘッドライトで本当見にくかったです。

私の表現が下手なのは認めます。

いや、見えるだろ!と思われるかもしれませんが、どこにいるのか本当に見にくいのですよ。。。

私が後続車であれば前の車にならって停車すればいいのですが、私が先頭だと警察官を見落としかねないと思い、運転席と助手席の窓を全開にし、ラジオの音を小さくすることで警察官が吹く笛の音がはっきり聞こえ、およその方向がわかり警察官を見つけやすくなりましたので参考までにお伝えします。

ちなみに私は眼鏡をかけていますが矯正視力は1.2以上で老眼とか乱視ではありません。

今日、同僚も見えにくかったと話していましたので、しつこいですが本当に見えにくかったです。。。

 

なお、交通整理がされていない交差点は「ゆずり合い」これしかありません。

朝のラジオで警察本部からのお知らせが放送されたのですが、警察官が足りず全ての交差点での交通整理ができないことから、警察官がいない交差点では譲り合ってくださいといった内容でした。

ただここにも問題があって、交通整理がされていない夜の小さな交差点は近づくまでここが交差点となかなか気づけないのです。。。車通りも少なく、とにかく歩行者や前の車との車間距離に細心の注意を払わなければならず、気づけば急に道路脇が開けて、はっ!!と思うと上に消灯した信号機が見え「ここは交差点だ!」と気づくことが多々ありました。。。

私の前を走っていた車は気づいているかどうかはわかりませんが大概そのまま行ってしまいます。。。はっ!と思って急ブレーキを踏むのも後続車があると危ないですしびくびくです。。。

そして私が制限速度よりかなり控えめに運転していると、車間距離を詰めてきたりパッシングしてくるやんちゃな排気音がする車がいるのですよ。。。前だけじゃなく後ろにも注意を払わねばなりません。。。

 

私が帰路につくころ高速道路は大部分が開通しており一般道を走る理由が特になければ高速道路のほうが安全かもしれません。

ただ私には給油という目的がありましたので高速道路は使わず敢えて一般道を行かねばなりませんでした。

結果からお伝えしましょう。

給油できませんでした。。。

 

自家発電設備がないガソリンスタンドでは停電すると給油ができなくなる場合がほとんどで、道中のほとんどが停電地域、そのため停電地域のガソリンスタンドは全て閉店していました。

途中、停電復旧地域も通ったのですが営業しているガソリンスタンドは「売切」という手書きの看板が掲げてあったり、出入口を車やコーンで封鎖していたりと既に給油できない状態でした。

 

道中のコンビニエンスストアは目ぼしい商品を売りつくしたのか、明かりが確保できないためか全て閉店していました。

 

給油という目的を果たせず、我が家まで残り約10キロとなったところで国道から道道(県道の北海道版)に入るのですがそこからがまた大変でした。

 

道道に入ってから我が家までは全て停電地域です。

道道に入ってすぐ、両脇に飲食店が建ち並ぶ道路があるのですが、こりゃまた人が多いこと。。。停電なので飲食店が営業しているかどうかはわかりませんが、一部の若者にとってはちょっとしたお祭り気分なのでしょうかね。。。車が来ていてもお構いなしに急に道路を走って横切ったり、誰に言っているのかはわかりませんが奇声めいた大声をあげたりと。

窓全開でゆっくり運転の私はびくびくでしたよ。。。

 

で、なんとか飲食店街を抜け、さぁ我が家まで残りわずかとなったところで道路の両脇が飲食店から住宅街へと様変わりし人通りも全くなくなり、走行している車も私だけとなりました。

不意の歩行者などがあるかもしれませんので油断禁物で気を引き締め運転していると、どこからともなく。。。

ヴィ~~~~~~~ン、ヴィッヴィーーン。

というエンジン音が。

どうやら私の車の後方のようですが姿が見えません。

ルームミラーに何度か目をやると微かに見えました。無灯火のたぶん原付です。

しかもかなり近いです。。。

交差点で減速してもぶつからないでください。。。

事故っても電話もLINEもできない状況なのでどうにもなりませんよ。。。

勘弁してください。。。

どこまでついてくるつもりですか。。。

あなたに我が家までついてきてほしくないのですよ。。。

やむを得ず我が家まで約2キロとなったところで迂回です。。。それでも鳴りやまない

ヴィ~~~~~~~ン、ヴィッヴィーーン

どうやったら離れてくれるのか。。。

考えた挙句、我が家からちょっと離れた大きな公園の周りを周回することにしました。

2周したあたりで後方の原付が急にライトをつけて離れていきましたので、停車して確認したところエンジン音が遠ざかっていき聞こえなくなりました。

やっと帰宅できます。

ガソリン少ないのに無駄に使わせて。。。

 

我が家に到着した時点で私が送ったLINEはまだ既読となっておらず、妻からの音沙汰がありません。

そして真っ暗な我が家。

 

自宅前に車を止めて降りると、窓から笑顔でこちらを見ている妻と歓喜している長女。

 

9月6日 午後10時ころ。

私「ただいまー!」

長女「おかえりーー!」

妻 「長男寝てるから静かにしろ!」

 

泣きそうになりました。

怒られたからではなく安心しすぎてです。。。

自宅を出てから帰宅するまで、妻たちは無事であろうと信じつつもほとんど状況を知ることができなかった時間は計り知れないほど長く想像を絶する不安でいっぱいでした。

 

夕べはあまり寝ていないにも関わらず、運転中に眠くなるとか疲れたということはなかったのですが帰宅した途端ギブアップです。

少々古臭い言葉で言えばバタンキューです。

 

どうやら妻も何度も私に電話をかけたようですが通じず、外に出ればかろうじてつながるときがあってもすぐに切れてしまう状態で、妻のスマホに発信履歴はあっても私のスマホに着信履歴はありませんでした。

そしてショートメッセージ等のメールはネットワーク接続云々で送信できなかったようです。

 

朝、長女の担任の先生から連絡があり6日と7日は臨時休校となったようですが、10日以降については不明とのことでした。

 

断水については、いろいろな噂が飛び交い、ラジオでは「噂よりも水道局HP」を確認してくださいと話していたようですが既にインターネットは見れない状況だったとのこと。。。

 

兎にも角にも無事帰宅です。

 

シャワーを浴びて、ガスコンロで作った夕食(おにぎり&味噌汁)を食べたあとは、不安そうな長女を連れて布団へ行き寝付くまで私の小さいころの話を聞かせておやすみなさい。

この日、もし車で遠くまで避難しなければならない状況になっても、ガソリンの残量わずかな我が家はそう遠くは行けませんでした。

何もないことを祈りつつ小さな余震が続くなか就寝です。

 

 

水道については様々な噂が飛び交っていました、結局このブログを更新している9月8日の午前6時半時点で我が家はまだ断水にはなっておりません。

ガスについては我が家はオール電化のため詳しくはわかりませんが、近所の方の話ではガスが大丈夫でも電気がないと使えない器具があるとのことです。

電気については我が家が住む地域は9月7日の午後10時ころ停電から復旧しました。

スマホのネット接続やLINE、通話については、9月6日の夕方ころから閲覧できたりできなかったり、通話できたりできなかったりと非常に不安定な状態でしたが、9月7日の夜にはほぼ通常どおりの状態に戻っていたかと思います。

 

 

 

なぜ電気もガスもない状態で帰宅早々私がシャワーを浴びれたかって?

それは後日、妻目線で書きたいと思いますが実際に書くかは確約できません。

 

当記事は9月8日の早朝に掲載しました。

知り合いから、我が家からちょっと離れたガソリンスタンドが給油再開との情報を得たので、深夜から朝方まで並んで給油してきたら目が冴え眠れなくなったのでブログを書いていました。

 

 

 

我が家はまだ余震に備え続けなければなりません。