愛猫家

彼女「ラン子さん、連れていけませんか?」

 

みなさん、ラン子さんを覚えていますか?

過去記事ラン子さん」などで何度か登場した妻実家で飼われている御年19歳の猫です。

はい、我が家の柴犬ゆきが妻実家に行くたびにお出迎えとお見送りをしてくれる猫です。 

 

今回は妻と私が夫婦になる少し前、約10年前のお話になります。

当時、私は彼女(妻)の実家がある市町村で仕事をしており、彼女は隣町にアパートを借りて住み、そこで仕事をしていました。

平日は仕事を終えた私が彼女の住むアパートに帰り、週末は私のアパートに彼女が帰ってくるというなかなか複雑な生活を送っていました。

もちろん彼女の両親了解のもとです。

そして私は約1ヶ月後に転勤を控えていました。同じ北海道内とはいえ、おいそれと彼女の地元には戻れないなかなか遠距離な転勤です。そして私が転勤してから約10か月後に彼女と入籍する予定でした。

 

ある週末、私が仕事を終え帰宅すると、先に帰宅していた彼女が泣きながらラン子さんも一緒に連れていきたいと言ってきました。

彼女の涙は彼氏である私が拭い去らなければなりません。

その願い、叶えましょう!

 

私 「わかった。」

彼女「え?」

私 「猫は家になつくって聞いたことがある。いきなり実家を離れるのはラン子さんには酷だと思うから少しずつ俺のアパートで過ごしてもらって、実家から離れることに慣れてもらおう。」

彼女「わかりました。ありがとうございます。」

 

なぜか当時は敬語が多い彼女。

そしてその日から週末だけラン子さんには私のアパートで過ごしてもらうこととなりました。

ちなみに私が住んでいたアパートは、私が最後の住人で転勤後に取り壊し決定となっていたため、大家さんからペットでもなんでも飼ってよいと言われていました。

 

転勤まで3回あった週末。ラン子さんはその全てにおいて慣れることはなく玄関扉前で夜通し鳴き続け、彼女も私もとても寝られる状況ではありませんでした。

 

彼女「ラン!慣れてくれないと離れなきゃならないんだよ。。。」

私 「ここだと実家が近いから、あきらめきれないのかな。。。?」

彼女「でも私のアパートはペット飼えないですよ。。。」

私 「いや、俺が転勤したあと彼女ちゃんたまに遊びにくるでしょ?」

彼女「はい。」

私 「そのとき、ラン子さん連れておいで。」

彼女「またダメだったら寝不足で仕事つらいよ。。。?」

私 「大丈夫!」

 

そして私は予定どおり引っ越し、ほどなくして迎えたGWに彼女が一週間以上の休暇をとりラン子さんを連れて遊びに来ました。

数日間、ラン子さんはわずかな水と餌しか口にせず、玄関扉前で夜通し鳴き続け声もかすれていくのがわかりました。

限界です。

彼女と私ではなく、ラン子さんの体が限界です。

幸いGW中で私も休日があったので、一泊二日で彼女実家にラン子さんを連れて帰ることとなりました。

その日を境に彼女はラン子さんを連れて帰りたいとは言わなくなり、その後も連れてくることはありませんでした。

ラン子さんのことを思うが故の判断です。

彼女の願いを叶えることができませんでした。

 

 

簡単ではありますが、以上が愛猫家である妻が今現在に至るまでラン子さんを我が家で飼わない理由となります。 

 

妻 「ずいぶん古い話かいてるじゃねーか()

私 「書いてる途中で見ないでください。。。」

妻 「ネタ切れか()?」

私 「。。。」

妻 「ランが望む場所で生かす。ただし護ってやれる場所だ!それが実家。あのときそう思ったわ。」

私 「そうですね。。。あのときはそれがわからなくて寝不足つらかったよね。。。」

妻 「はぁ!? あのときつらくないって言ってたべ? 嘘ついてたのか?」

私 「いえ。。。」

妻 「生きていればそれでいい。実家にいるから会えないわけじゃないしな()

私 「そうですね。。。」

妻 「ただ、多分、最後は看取れない。それが飼い主として一番悲しい。」

私 「。。。」

妻 「以上だ!寝る!おやすみ!」