父と子

長男と柴犬ゆき

妻 「お義父さん、どんな人だったの?」

 

妻から何度か受けた質問。

父は私にとって怖い存在でした。

無闇やたらに暴力をふるうとか怒鳴り散らすというわけではなく、父という存在自体に言い表せない怖さを感じていました。

私が小学生のころは朝野球の少年団と放課後のサッカー少年団に半ば強制的に入れられ、冬は父の休みにあわせやはり半ば強制的にスキーへ連れていかれしごかれました。

私は野球ボールが顔面に当たって以来、球技全般に対して恐怖心をおぼえ、同級生がスキーを楽しんでいる横で私は父のしごきを受け続け嫌気しか感じることができませんでした。

父が推し進めてくるもの全てに「やめたい」と思いつつも、父から感じる言い表せない怖さと直接向き合いたくないがために切り出すことができず嫌々ながら従うしかありませんでした。

 

 

そして今、我が家でも同じような光景が繰り広げられています。

 

柴犬ゆきと長男です。

 

過去「ゆきやこんこん」で書いたことがありますが、長男は生まれながらにしてゆきのパパです。

今夜はそんな我が家の小さな父と子の様子をご覧ください。

 

 

曇天の午前

長男「ゆきのおさんぽいく!」

 

始まりはいつも長男の悪気のない無邪気な発言です。

今日は午後から大雨の予報であることを妻は知っており、長男をなるべく外で遊ばせてあげたいという気持ちから長男の希望を叶えることとしました。

妻 「ゆき~。お散歩いくよ~。」

 

妻の一言で一気に体をくねらせ全身で喜びを表現するゆき。

そんなゆきの姿を見て大喜びする長男。

妻がゆきにリードを取り付けようとしましたが、目をキラキラさせ、耳をピンとし、体をくねらせ、全身で大はしゃぎするものだからなかなかうまく取り付けられなかったようです。

なんとかリード取り付け完了。

ゆきの嬉しさはピークに達しています。

 

妻 「長男くん、ゆきちゃん怖がるからリード離したらダメだよ。」

長男「はい!」

 

それまで嬉しくて飛び跳ねていたためブンブン揺れていたリードが、長男に渡した途端ぴたっと止まりました。 

 

そこには眼の輝きは失われ、耳がうなだれ、震えているゆきがいました。

こうなることは妻もわかっていました。

長男「ゆき、いくよー!」

 

申し訳なさそうについてくるゆき。。。

 

小学生のころ、父と出かけるのは嫌だったなぁ。。。むかしの父と私の情景が目に浮かびます。

長男(ゆきのパパ)から感じる言い表せない怖さと直接向き合いたくないがために嫌々ながら従うしかないようです。。。

 

 でもときにはちょっぴり反抗します。

 

 

私は今でも父に対する怖さはあります。

でも当時と違うのは私が父の背を追い越し、父から強制されるものがなくなり、父との会話が増えたことです。

そして今、父は私の良き理解者です。

 

長女が生まれたとき、私の実家にて。

私 「ほら、おじいちゃんだよ!」

長女「(満面の笑顔で)にこ♡」

父 「おお!赤ん坊の笑顔は100万ボルトだな!」

私 「100万ドルじゃねーの?」

 

またある日、私の実家にて。

父 「近所にスターバスターできたからあとで行ってみる?」

私 「スターバックスかい?」

 

小学生のころ、今の父を知っていたら父に対する想いはまた違っていたのかもしれません。