平成27年10月25日、我が家が住む地域で初雪が降った日でした。
引っ越して間もない我が家の外食中の会話。
妻 「近くにペットショップあるね。帰りにちょっと見ていかない?」
私 「いいね。でも飼わないよ。」
妻 「そうだね。もうすぐ二人目も産まれるし今はペットどころじゃないね(笑)」
私 「柴犬見たい!いかにも犬っていうフォルムが好きで!」
妻 「私はポメラニアンとかトイプードルが見たい!」
長女「レッサーパンダ見たい!」
私・妻「いればいいね。。。」
十数分後、某ペットショップ店内の柴犬の前にて。
私 「一頭だけ柴犬いたけど、子犬にしては大きいね。」
妻 「他と違ってずいぶん安いし割引までしてるね。。。」
私 「他の子犬は愛嬌たっぷりなのに、この子ずっと背中向けてるね。」
妻 「哀愁ただよってるね。。。」
私 「売れ残っちゃったんだろうね。。。」
店員「抱っこしてみますか?」
私 「情がうつると困るので結構です。」
店員「まぁそう言わず一度抱っこしてあげてください^^」
私 「う、ずいぶん大きいですね。。。この子は売れ残ったのですか?」
店員「まだ良い縁に巡り合っていないだけですよ^^」
私 「テレビで見る柴犬ってもっと顔が丸いですが、この子は。。。」
店員「キツネ顔ですね。私が言うのもなんですが美人さんになりますよ^^」
私 「ちょっとオシッコ臭いですね。。。」
店員「あら!この子が嫌がらないで抱っこされるなんて初めてですよ!」
私 「営業トークですよね。」
店員「まぁどう思っていただいても結構ですよ^^」
私 「なんだかびくびくしてますね。。。怖いのかな?」
店員「久しぶりに知らない人に抱っこされましたからね。」
私 「久しぶりなんですね。」
店員「じゃぁ服がオシッコくさくなったら困るのでケースに戻しますね。」
私 「この子、勧めないのですか?」
店員「縁で結ばれた者どうしは自然とパートナーになりますので、私から勧めることはありませんよ^^」
私 「そうですか。またね!」
柴犬「(上目遣いでじーっ)」
私 「さっきまで背中むけてたのに。。。」
店員「お客さまのこと気に入ったようですね^^」
私 「すいませんが、引っ越したばかりですし、もうすぐ子どもが産まれるので我が家には犬の面倒をみる余裕がないと思うのです。今日は見るだけのつもりでした。」
店員「みなさんそれぞれ事情がありますからね。当店の子たちに癒されていただければなによりです^^」
私 「では、すいませんが失礼します。(出口へ向かう)」
店員「(柴犬にむかって)残念だったね。。。」
長女「柴ちゃん、こっち見てるよ。」
私・妻「え。。。(振り向く)」
柴犬「(上目遣いでじーーーっ)」
妻 「(柴犬を指さして)あれ、ちょっと見てごらん。」
私 「すっごい目がきらきらしてるね。。。」
私は15年、妻は17年、小学生の頃から犬を飼っていた経験があり、犬(犬以外のペットも同じです)を飼うことの大変さは身をもって知っていました。
そして、それぞれの愛犬は病気やケガはしたものの無事に生涯を終え最期は眠るようにこの世を去り、そのときの言葉では言い表せない悲しさ、寂しさ、空虚感、後悔を知っていました。
小学生だった飼い主は成長するにつれて活発になり興味の幅が広がり活動範囲が広がっていく一方、愛犬は老いていき、リードを引く力が弱くなり、興味は飼い主だけになり、寄り道だらけだった散歩はいつの間にかただ歩くだけのコースとなり、そして最後数年間は散歩にすら行けず家のいつもの場所からほとんど動かなくなりました。
子どもが生まれるまえ、私と妻はよく犬の話をしたりペットショップを眺めたりはしたものの飼おうという話にはなったことがありません。
理由は世話が大変だからではなく、再び最期を看取ることに耐えられないからです。
当然この日も飼おうと思ってペットショップに行ったわけではなく、いつもどおりただ眺めるだけのつもりでした。
後日、妻と話してわかったことですが、長女の言葉で振り返り柴犬と目があった瞬間、私も妻も不思議とそれまでの飼わない理由を捨て、家族として受け入れることを決心したようですが、決定的な「飼おう」というセリフが言い出せない状況でした。
長女「私、柴ちゃんのママになる!」
私 「犬を飼うのはすっごい大変なんだよ。うんちしたらお片付けしないとならないし、変なところでオシッコしたら拭かないとならないし、雨や雪でもお散歩に連れて行ってあげないとならないんだよ?」
長女「ママだからやるしかないね!」
妻 「長女ちゃんより先に死んじゃうんだよ?それでもいいの?」
長女「それもママのお仕事ならやるしかないね!」
私・妻「。。。」
私 「すいませんが、一度店を出て冷静になって考えてきていいですか?」
店員「もちろんどうぞ^^」
私 「では。。。」
店員「お客さま、少々よろしいですか?」
私 「はい、なんでしょう?」
店員「縁というのはとても思わせぶりな態度をとるときがあります。そしていつ結ばれるかは誰にもわかりません。お客さまが店を出て5分、いえ1分後に戻ってきたとき、他のお客さまが購入手続をされてましたら、この子とは縁がなかったということで早く忘れてあげてください。」
私・妻「。。。」
私 「もう一度抱っこしてもいいですか?」
店員「どうぞどうぞ^^」
柴犬「(必死にしがみついてくる)」
私 「すごいしがみついてくる。。。どう思う。。。?」
妻 「なんかこの子を飼いたいかな。。。」
私 「トイプードルは?」
妻 「この子のほうがいいかな。。。」
私 「(柴犬にむかって)うちに来るかい?」
柴犬「(私の顔を舐めてくる)」
店員「一度、店外へ行かれますか?」
妻 「もう冷静なのでその必要はないようです。」
店員「(涙ぐみながら)長かったね。やっとパパとママが迎えに来たね!」
長女「今日から私がママだからね!パパはまだママ(妻)のお腹にいるけどもうすぐ逢えるからね!」
以上が柴犬が我が家の一員となった日の話です。
約3年前の会話ですので一字一句正確というわけではありませんが内容や流れはほぼそのままです。いえ、それ以上にもっと話してはいるのですが長くなってしまうので省略させていただきます。
当時、愛犬のブログでも始めてみるかなとWordでいくつか下書きはしていたものの、仕事がハードな時期だったことと、ほどなくして生まれた長男の世話ですっかり忘れており、今日パソコン内のデータ整理をしていたら偶然みつけたので掲載してみました。
当時の下書きをいくつか掲載したら、リアルタイムな柴犬の日常などを掲載できればと思います。
最後に妻の愛犬チロ、私の愛犬マミーの安らかなる眠りをお祈り申し上げます。
店員「では、お手続とお会計はあちらで^^」